「猫エイズ」と聞くと、何かこう絶望的な病気のように思ってしまいますよね。
でも感染したからといって、ただちに死に直結する病気ではないんですよ。
事実、僕の家にも長生きしている猫エイズのキャリア猫がいます。
今回は猫エイズに感染しているキャリアの猫を、多頭飼いの環境で同居させた場合の、先住猫への感染リスクや必要な対策について実体験に基づいてお伝えしますね。
我が家の猫エイズキャリア猫について
写真の猫です。元野良猫のオスです。
保護したときには、すでに成猫だったので年齢は13歳くらいにはなっていると思います。
名前は「ガーさん」と言います。
猫なのに「ニャー」と鳴けないんですよね。
どうしても「ガー、ンガー」という鳴き声になってしまいます^^
保護したときに動物病院で検査を受けたら猫エイズに感染していることがわかりました。
かかりつけの先生から
- 感染していても発症することなく長生きして天寿を全うするケースも多い
- しっかり対策すれば先住猫に感染させるリスクはとても低い
という説明を受けて、一緒に暮らす決心をしたという経緯があります。
多頭飼いで猫エイズキャリアの猫を同居させる場合
先住猫への感染のリスクは?
猫エイズという言葉の響きから凶悪なウイルスを想像してしまいがちですが、それほど感染力が強いわけではありません。
猫同士の空気感染や接触感染もありませんし、もちろん人間にうつることもありません。
猫エイズに感染する経路で最も多いのが、キャリア猫とのケンカです。
ケンカをしてできた傷口から、血液の中にウイルスが侵入して感染してしまうのです。
ただし未去勢のオス同士がメスを争って起こすような本当に激しいケンカ、それこそ取っ組み合いをして血みどろになってしまうようなケンカでもしない限り、感染することは非常に少ないのです。
多頭飼いで同居させるために必要な対策
去勢・避妊手術を受けさせる
繰り返しになりますが猫エイズの最大の感染リスクは猫同士のケンカ、それも血みどろになってしまうほどの激しいケンカです。
それを避けるための大前提の対策としてキャリアの猫はもちろん、一緒に暮らすすべての猫に去勢・避妊手術を受けさせてあげてください。
去勢したオス同士で流血を伴うほどの激しいケンカをするということはまずありません。
もちろん完全室内飼いが大前提です。
外に出す飼い方はあまりにも無責任と言わざるを得ません。
飼い主が外出中は大きめのケージに入れる
激しいケンカをしなければ大丈夫・・・
とはいっても、やはり若干の心配はありますよね。
特に飼い主が外出していて猫たちだけで留守番をしているような状況は心配です。
対策としては大きめのケージを用意して、その中にキャリア猫が使っているトイレや寝床、食器などをすべて入れます。
そして飼い主が家にいないときや目が届かないときは、キャリア猫をケージの中に入れておくという方法が良いと思います。
その代わり飼い主が家にいるときは、ちゃんとケージから出して、他の猫と分け隔てなく可愛がってあげる時間を必ず作ってあげてくださいね。
感染と発症とは違う
そもそも猫エイズとは?
猫エイズの正式な病名は猫免疫不全ウィルス感染症と言います。
生物は自分の命を守るために「免疫」という機能を持っています。
この病気に感染すると、免疫の機能が徐々に破壊されてしまうのです。
免疫機能が低下すると、健康なときには感染しないような病原性の弱い微生物に感染し、それが元で重い症状が出てしまって、最終的には発症して死に至ります。
進行状況ごとのステージ
感染したキャリア猫が、必ず発症するかといえばそういうわけではありません。
発症しないで、ふつうの猫と変わらぬ寿命を全うする猫も少なくないのです。
どういうことかというと、この病気には進行状況ごとに
- 急性期
- 無症状キャリア期
- 発症
というステージがあるのです。
感染した最初の数カ月は、発熱や下痢、リンパ腺の腫れといった症状が見られます。これが急性期です。
この急性期を過ぎると、健康な猫とまったく見分けがつかない無症状キャリア期に入ります。
この無症状キャリア期は一般的には4~5年と言われていて、それが過ぎると発症というステージに移行してしまうわけです。
一般的には4~5年と言われている無症状キャリア期ですが、この期間の長さは猫によって大きく異なります。そしていつ発症してしまうかは誰にもわからないのです。
うちのガーさんは保護してから10年以上経ちますが、今でも無症状キャリア期のまま元気でいてくれています^^
最後に
たとえ猫エイズに感染していても発症さえしなければ、他の猫と同じように元気で過ごすことができるということがおわかり頂けたと思います。
この病気を発症してしまう大きな要因はストレスだと言われています。
ですからもしあなたが猫エイズのキャリア猫を保護しようとお考えなら、しっかり対策すべきところは対策しながら、どうか差別しないで、できる限り心安らかに過ごせるように気を配ってあげてくださいね。
今回の記事が少しでもお役に立てるのなら、とても嬉しく思います。
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