猫がお気に入りの毛布やタオルなどを「ふみふみ」と揉むしぐさを見せることがあります。
前足を交互に動かしながら、ふみふみふみふみ・・・
暖かくて柔らかくて心地よいものに包まれ安心しきっている状況のときによく見られます。
今回は猫のふみふみの意味を詳しく解説していきます。
ふみふみの元々の意味
とても可愛らしい猫のふみふみ。
ふみふみしているときは幸せだった赤ちゃんのころのことを思い出しているのです。
母猫のお乳を飲むときに、前足でおっぱいを揉みながら飲むことで自然とお乳の出がよくなります。
この赤ちゃんのころの記憶が猫にはずっと残っているのです。
このふみふみの動作は、英語では「ミルクトレッド(milk tread)」や「ニーディング(kneading)」と呼ばれています。
treadは「踏んづける」、kneadは「パンなどをこねる」という意味です。
ふみふみしてる猫の前足をよく観察するとわかるのですが、ただ踏みしめるのではなくて、指をグーパーさせながら毛布などを引っかけて延ばすような動作をしています。
このしぐさはまさに「こねる」という表現がよく当てはまります。
布団や毛布にふみふみ
猫がふみふみしたくなるものの代表例に布団や毛布、クッションが挙げられます。
それも新品の布団や毛布ではなくて、自分や飼い主のニオイが付いているような、猫自身がいつも使っているお気に入りのモノをふみふみすることが多いです。
お乳を卒業しても、母猫のお腹の柔らかさを思わせるモノに出会うと、ふみふみしながら母猫に甘えることができた子猫時代の幸せな気分を思い出してしまうのでしょう。
また布団や毛布のふみふみは、眠くなった時にお気に入りの寝床を整えながらリラックスするという意味のときもあります。
言ってみれば寝る前のルーティンワークみたいな感じですね。
いずれにしてもうっとりと穏やかな気持ちでいることは間違いありません。
飼い主にふみふみ
家で飼われている猫にとっては飼い主はまさに母猫代わりです。
猫が飼い主のことを「この人は自分のことを心から大切に思ってくれる信頼できる存在なんだ」と思っているのなら、母猫に甘えていた子猫時代を思い出しながら飼い主にふみふみしてくるのも凄く自然なことですよね。
ふみふみしながらゴロゴロとのどを鳴らしているときは、猫はうっとりと幸せな気持ちを味わっている証拠。
心ゆくまでふみふみさせてあげてくださいね。
また猫の肉球には、猫特有のニオイを分泌する臭腺が多く集まっています。
大好きな飼い主の体やお気に入りの布団などをふみふみして、自分のニオイを付けて安心したいというマーキングの意味もあります。
飼い主の対応
猫がふみふみを始めたら・・・
その可愛らしい姿に思わず撫でてあげたり、抱っこしたりしてあげたくなると思いますが、それをグッとこらえて静かに見守ってあげるのが一番です。
撫でたり抱っこしたりすると、猫のふみふみを止めることになってしまいます。
さっきも言ったように猫がふみふみしているときは、子猫時代に母猫に甘えていた時のことを思い出して幸せな気分に浸っているわけですから、邪魔しないようにしてあげましょう。
ふみふみアイテムは取り上げないこと
猫がふみふみしている毛布やクッションは、自分のニオイや飼い主のニオイが染みついた猫のお気に入りのアイテムです。
お気に入りのアイテムをフミフミすることによって、精神的な安心感や癒しを得ているのです。
ですからもし汚れが気になったとしても、安易に取り上げて洗濯したり新しいモノと取り換えたりといったことは避けてあげた方が良いですよ。
何歳までふみふみするの?
ふみふみは何歳くらいまでするものなのでしょうか?
子猫に多く見られる行動ですが、大人になっても変わらずふみふみする猫も多いです。
その猫の生まれ育った環境や持って生まれた性格によるところが大きいので、老猫になってもふみふみする猫はいます。
実際、うちの猫たちも全員シニアの年代ですが、時々ふみふみしてますよ・・・
ふみふみしない猫もいる
猫がふみふみを見せてくれるのは、飼い主が信頼されている証ですが、ふみふみを見せてくれないからといって信頼されていないというわけではもちろんありません。
子猫時代に母猫と一緒の時間をたっぷり過ごした猫は、完全に乳離れができていてふみふみしない場合が多くあります。
逆に親離れする時期が早すぎた場合は、子猫の気持ちに帰りふみふみすることが多くなります。
また自分の強さに自信がある猫や、自立心の強い猫はふみふみしない傾向が強いと言われています。
ふみふみするかしないか、またふみふみする期間の長短などは、その猫の生まれ育った環境や性格によるものですので、飼い主がとくに気にかけるようなことではないのです。
ふみふみで注意するべきこと
猫のふみふみで一つだけ注意しなくてはいけないことがあります。
不安やストレスを感じたときにも、気持ちを落ち着かせるためにふみふみする場合があるということです。
そういうときの猫は毛布やタオルなどをチューチュー吸ったり、ガシガシかじったりしながらふみふみすることが多くなります。
これは「ウールサッキング」と呼ばれていて、毛布やタオルなど、布製品のほつれた糸などを飲み込む危険性があるため、注意が必要です。
ウンチと一緒に出せれば良いのですが、腸に詰まってしまうと手術が必要なことにもなりかねません。
このウールサッキングが見られる場合に限っては、対象の毛布やタオルを猫から取り上げる必要がありますね。
最後に
うちのレン(8歳オス猫)です。
本当に人なつこい性格で、ふみふみもよくやってます。
レンがゴロゴロ言いながらお気に入りの毛布をふみふみするしぐさを眺めていると・・・
「母猫のことを思い出しているのかな」とか「この子にも母猫や兄弟猫がいたんだよな」とか考えてしまい、何とも切ない気持ちになります。
縁があってうちに来てくれたレンを最後まで大切にしてあげなくてはいけないなと、ふみふみを見るたびに思いを新たにしています。
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