猫をなでたり抱いたりすると、幸せそうに目をつぶってゴロゴロ言いますよね。
猫が「嬉しい」と感じているときの感情表現として、猫好きはみんなよく知っています。
しかしこのゴロゴロ音には、あまり知られていないもう一つの意外な理由があります。
今回は猫がゴロゴロ言う理由や、ゴロゴロ音による癒し効果のメカニズムなどを一緒に見ていきましょう。
猫がゴロゴロ言う理由
もともとは子猫と母猫のコミュニケーション
ゴロゴロ音はもともとは子猫と母猫のコミュニケーションに使われていました。
子猫がゴロゴロ音を出せるようになるのは生後2日くらいです。
お乳を飲みながら「たくさん飲んでるよ。幸せだよ。」と母猫に伝えるためにゴロゴロ言うのです。
母猫も「安全だよ。安心して大丈夫だよ。」とゴロゴロ音で子猫に伝えます。
お互いにとても幸せな時間です。
また子猫のゴロゴロ音が母猫の母乳の「出」を促進させるのだとも考えられています。
飼い主への親愛の気持ち
飼い猫は飼い主のことを母猫のように思っていますから、
抱かれたりやさしくなでてもらったりしたら、
いくつになっても子猫時代にお乳を飲んでいたときと同じ気持ちになります。
ゴロゴロとのどを鳴らして飼い主に親愛の気持ちを伝えます。
子猫気分の強い甘ったれの猫ほどゴロゴロ言う頻度は高いものです。
幸せいっぱいの表情を浮かべながらゴロゴロ言っている猫は本当にかわいいですよね^^
苦しいときにゴロゴロ言うときも
猫が幸せな気分や嬉しい気持ちをゴロゴロとのどを鳴らして
母猫や飼い主に伝えていることは、多くの方が知っていると思います。
しかし意外なことに猫のゴロゴロ音には、まったく逆のケースもあります。
苦しさや痛み、怯え、そして悲しいですが死の間際などでもゴロゴロ言う場合があることが確認されています。
苦しい時に、母猫に甘えてお乳を飲んでいたときの安らぎを求めているのかもしれませんね・・・
そう考えると切なくなってしまいます。
ゴロゴロ音の癒し効果について
ゴロゴロゴロゴロ・・・
猫が幸せそうにゴロゴロゴロゴロ言ってくれると、こちらまで嬉しい気持ちになって癒されますよね。
フランスでは、猫の「ゴロゴロ音」を治療やリラクゼーションに取り入れた「ゴロゴロ・セラピー」というものまであります。
ストレスなどに対する精神医療の一環として、一定の効果が認められているそうです。
もちろんこのゴロゴロ・セラピーには科学的根拠があります。
リラックスしている猫のゴロゴロ音は25ヘルツの低周波です。
20~50ヘルツの低周波は体の緊張をほぐす副交感神経を活発にさせる効果があります。
また低周波の働きで、脳内で働く神経伝達物質のひとつである「セロトニン」が分泌されることもわかっています。
このセロトニンは感情や気分を安定させて、いわゆる「多幸感」を得るために欠かせない物質なのです。
セロトニンの分泌を促してくれる猫のゴロゴロ音・・・
凄い効果ですよね^^
ゴロゴロ音には骨密度を高める効果まで!
猫のゴロゴロ音は25ヘルツの低周波。
低周波には体の緊張をほぐす副交感神経を活発にさせる効果があるとご紹介しました。
その他にも低周波には動物の骨密度を高める効果まであるというから驚きです。
猫は普段からゴロゴロ音を出すことで骨密度を高め、ケガに備えているのではないかと考えられています。
人間の最新医療で「超音波骨折治療」がありますが、猫のゴロゴロ音が骨密度を高めるというのと原理は同じです。
猫はみんなゴロゴロ言うわけではない
猫がゴロゴロ言うのは、幸せな気分や親愛の気持ちの表れ・・・
それではゴロゴロ言わない猫は、その逆なのか?
もちろんそんなことはありません。
もう亡くなってしまいましたが、以前クロというメス猫を飼っていました。
野良猫時代に過酷な生活を送っていたのか、家に入れてからも警戒心が強く
抱っこはおろか、なかなかなでさせてもくれませんでした。
もちろん幸せそうにゴロゴロのどを鳴らすなんてことは一切ありません。
そんなクロでしたが一緒に過ごすうちに少しずつ心を開いてくれて
目線や顔の表情などで、控えめに僕への親近感を伝えてくれるようになりました。
その猫その猫で持って生まれた性格や、育った環境がありますから
その猫のペースに合わせてコミュニケーションを取ることがとても大切です。
あとがき
今回は猫がゴロゴロ言う理由や癒し効果について紹介してきましたが、
ゴロゴロ音が出る仕組みについては、実はまだはっきり解明されていません。
現在のところ「咽頭(いんとう)を振動させて、そこを通る空気を震わせてゴロゴロと発声する」という説が有力です。
確かにゴロゴロ言っている猫ののどや胸に手を当てると振動しているのがわかります。
普通に鳴くだけなら振動はしないですよね。
ゴロゴロの仕組みはよくわかっていませんが、ゴロゴロの意味は理解できます。
それは猫なりの飼い主へのコミュニケーションです。
猫は誰もいないところではゴロゴロ言いません。
「嬉しいよ。幸せだよ」のゴロゴロ音であっても
逆に「苦しいよ。辛いよ。」のゴロゴロ音であったとしても
親愛の気持ちを感じている飼い主に対して猫なりの方法で気持ちを伝えているのです。
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