猫の去勢・避妊の必要性。もはや飼い主の義務ではないでしょうか?

猫の去勢・避妊の必要性について 猫を飼う準備

私の友人の話ですが・・・

初めて飼った猫はメス猫だったのですが、自由に外に出す飼い方をしていました。
避妊手術をしていなかったので、子猫を一度に5匹も出産してしまい凄く困った、ということがあったそうです。

猫を家で飼っていて、子供を産ませる予定がないのであれば、
去勢・避妊手術はやはり受けさせた方がいいです。いや、受けさせるべきです。

今回は去勢・避妊手術の必要性について一緒に考えていきましょう。

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猫の去勢・避妊手術の必要性

猫に去勢・避妊手術を受けさせる必要性とメリット

 予定しない妊娠の回避

最近の猫はどんどん成長が早くなっています。
生後4~5カ月で性成熟する早熟な猫もいるほどです。
生まれたばかりで、まだまだ子供だと思っていても、子猫はあっという間に大人になってしまいます。

猫は交尾の刺激によって排卵するため、妊娠の確率は人間よりもずっと高いです。
それに猫は1年に3~4回の発情期を迎え、一度に3~5匹の子供を生みます。

例えば避妊手術をしないでメス猫を外飼いで飼っている場合などは、
飼い主にとって全く思いもしなかった子猫をたくさん生んでしまうこともある訳です。

私の友人がまさにその状況でした。
その猫たちを全部飼ったり、里親を見つけたりできれば良いですけど、
そうでなければ不幸なことになってしまいます。

たとえ家で生まなくても、飼い主の知らない間に外で生んでいる場合もあるかもしれません。
待っているのは過酷な野良生活。不幸な命が増えるだけです。

オス猫の場合でも「生ませる」という意味で、メス猫と同じことです。
不幸な命を増やさないために、予定しない妊娠は避けてあげなければいけません。

発情期のストレスの軽減

去勢していないオス猫は「スプレー」と呼ばれるおしっこをします。
立った状態のまま少量のおしっこを、後ろに向けてスプレーのように壁やタンスにピュッと噴射するのです。
その臭いは強烈で家の中でされたら本当に困ってしまいます。

これはマーキングといって強烈な臭いで自分の縄張りを主張する意味と、メスへのアピールの意味があるのです。

また去勢していないオス猫は凄く気性が荒くなります。
オス猫同士を家で飼おうものなら激しいケンカを繰り返して、飼い主はとても手に負えなくなってしまうでしょう。

さらにオス猫もメス猫も発情すると夜中でも関係なく、外に聞こえるほどの大声で鳴き続けます。
近隣トラブルの元になることも多くなります。

落ち着きなく部屋の中をウロウロしたり、異性を求めて外に出たがったり・・・
脱走したら放浪してしまって帰ってこないかもしれませんし、交通事故に遭うリスクも高まります。

去勢・避妊手術をしてあげると、このような発情期特有のストレス行動がほぼ見られなくなるのです。

病気の予防

去勢・避妊手術をしてあげることで予防できる病気があります。
その代表的な例がメス猫の乳腺腫瘍です。

避妊手術をしていないメス猫に圧倒的に多い、いわゆる乳がん。
約9割が悪性で死に至る可能性が高い病気です。
生後1年以内に避妊手術をしてあげたら、かなりの予防効果が期待できます。

避妊手術をしてあげると、他にも子宮蓄膿症や卵巣腫瘍といった生殖器の病気の予防になることがわかっています。

また去勢手術をすることでオス猫にも予防できる病気があります。

外飼いの場合ならケンカが少なくなりますので猫エイズなどの感染症のリスクが減りますし、
前立腺の病気や精巣腫瘍といった病気の予防にもなります。

おだやかになる

オス猫がケンカをする大きな理由は、自分の縄張りに入ってきた他のオス猫を追い払うためと、
メス猫を獲得するための闘争です。

去勢したオス猫は激しいケンカをする頻度が格段に少なくなります。
メス猫を獲得するための闘争とも無縁になりますので、おだやかな性格になります。

また去勢・避妊手術をするとオス・メスともに行動範囲が非常に狭くなります。
遠くまで遠征しなくなるので、迷子になったり事故に遭ったりする確率を少しでも減らせるはずです。

猫に去勢・避妊手術を受けさせるデメリット

オス・メスともに運動量や消費カロリーが減るので、どっしりと太りやすくなります。
肥満は猫の健康にさまざまな悪影響がありますので注意が必要です。

去勢・避妊手術をした猫用の低カロリーフードなども販売されていますので、
そういったフードも利用して、工夫して食事を与えてあげてください。

去勢・避妊手術に適した時期

生後6ヶ月~1歳までの間の期間が、体力が十分にあるので手術にベストだと言われています。

最初の発情前に手術をしてあげれば、発情期特有の行動をすることは基本的になくなります。
またこの時期に手術をした猫は、生殖器の病気の発症率が最も低いことがわかっています。

手術の適齢期を過ぎた猫でも大丈夫?

手術の適齢期は最初の発情の前・・・
そうは言っても、拾ってきた野良猫に手術を受けさせたいという場合もありますよね。
適齢期を過ぎていても手術は大丈夫なんだろうかと、心配になる飼い主もいらっしゃるでしょう。

手術を受けるのに年齢の上限はありません。
11歳で去勢手術を受けさせた例もあるくらいです。
その猫は13歳になった今でも、元気いっぱいに過ごしているとのこと。

たとえ適齢期を過ぎた猫であったとしても、病気のリスク軽減が見込めますし、
発情のストレスを抑えて穏やかに過ごす為にも手術は有効です。

ただし高齢であったり、病気を抱えていたりすると全身麻酔や手術の負担はもちろん大きくなります。
その猫その猫で状況は違いますから、信頼できる獣医さんと十分に相談して悔いが残らない決断をしてあげてください。

去勢・避妊手術の流れ

まずは動物病院で診てもらいます。
手術の時期は、猫の成長の程度や体調によって決まってきますから、
信頼できる獣医さんの話をよく聞くことが大切です。

手術前に検査があります。

最低限の血液検査を行って貧血の有無を確認したり、
肝臓や腎臓、心臓が正常に機能しているかどうか、
全身麻酔や手術に耐えられる状態にあるかどうかなどを確認したりする検査です。

例えば腎臓の機能が低下していると、麻酔の抜けが悪いので手術はできないということになるわけです。

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そして手術の当日は、絶食などの指示事項を必ず守ったうえで動物病院に連れていきます。
手術自体はそれほど難しい手術ではなく、時間もそれほどかかりません。

手術した当日は1泊の入院になることがほとんどです。
特に問題がない場合、翌日には退院できます。

手術の際に縫合を行った場合、手術から約1週間後に抜糸を行います。

技術の進歩によって切開部分を縫い合わせる際、
時間とともに自然に溶ける糸や接着剤を使用する病院も増えています。
抜糸の必要がなく、猫にかかる負担を大きく減らすことができます。

どんな手術なのか?

オスの去勢手術

精子を作る精巣(睾丸)を取り除く手術です。
精巣は通常左右に1つずつあって、摘出すると生殖機能を失います。
また発情期の性衝動を抑えることにも繋がります。

基本的には全身麻酔をかけた上で、精巣を包む陰のうの皮膚にメスを入れる皮膚切開手術が行われます。
切開するのは1cmくらいで、手術自体は10分ほどで終了。

まれに精巣がお腹に入り込んでいる猫がいます。
その場合はお腹に残したままだと腫瘍になる恐れもあるので、開腹手術をして取り除く必要が出てきます。

メスの避妊手術

メスの生殖器である卵巣と子宮を摘出する手術です。
卵子を作る卵巣を取り除けば妊娠することはありません。
さらに子宮まで取り除くことによって発情行動や病気のリスクを避けることができます。

通常は全身麻酔をかけた上で、下腹部を6~7cm切開する開腹手術を行います。

最近では、傷が小さくて済む「腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)」を行う病院も増えてきています。
開腹手術よりも費用は掛かりますが、特に高齢猫などの体への負担を減らすことができます。

手術は1時間ほどで終わりますが、動物病院によっては入院が必要になることもあります。

麻酔について

手術の際は、全身麻酔を使用します。
このことに不安を感じる飼い主も多いですよね。

しかし手術には痛みを伴いますので麻酔なしで手術をすることはありえません。

手術前には必ず検査を行い、麻酔をしても支障がないかしっかりと確認してから麻酔・手術を行います。

最近では、より猫の体に負担がかからないガス麻酔が主流です。
万一アレルギー反応を起こした場合でも、現代の医療技術で対処が可能なケースがほとんどです。

術後のケア

いくら大きな手術ではないといっても、切開を伴うわけですからもちろん傷口は残ります。

術後の傷の回復をスムーズにするために一番大事なことは、
猫が傷口を舐めたり噛んだりしていじらないようにすることです。

そのためにエリザベスカラーを着けさせられる場合があります。
これを着けていると猫が傷口を舐めることができなくなるので、傷口の治りが良くなります。

とはいえ、ほとんどの猫が嫌がります。
どうしても嫌がる場合には、飼い主がしっかり見てあげられる時間や、食事の時間などは外してあげて
少しでもストレスを感じないようにしてあげたいですよね。

万一、手術後に

  • 傷口が赤く腫れたり膿んだりする
  • 寒さや痛みで震える
  • ぐったりしている
  • 嘔吐を繰り返す
  • けいれん

などの異常が見られたらすぐに獣医師に連絡してあげてください。

費用の目安

猫の去勢・避妊手術は、もし飼い主がペット保険に入っていたとしても残念ながら補償の対象にはなりません。
去勢・避妊手術はケガも病気もしていない健康体の猫に施すものだからです。
全額自己負担になります。

手術を受ける動物病院によって、
麻酔薬や器具、入院日数(日帰りの場合もあり)など手術のやり方が大きく異なります。
それによって手術費用にも大きな違いが出てきます。

だいたいの目安としてはオスの場合で10,000~25,000円くらい、
メスの場合は15,000~40,000円くらいとなります。

ただし傷が小さくて済む「腹腔鏡手術」の場合は、
特別な機器や専門的な技術を必要とすることから10万円前後かかることが多いようです。

去勢・避妊手術は、けっして可哀想なことではない

人間の都合で猫に去勢や避妊の手術をさせるのはかわいそうだとか、
小さな体にメスを入れるのは耐えられないとか、
そういうふうに考える方もたくさんいるでしょう。

しかし、手術をした場合の「かわいそう」と手術をしない場合の「かわいそう」を比較したとき、
手術はやはりしてあげるべきです。
そうしないと猫に大きな精神的苦痛を与え続けることになります。

考えてもみてください。

去勢・避妊手術をしないということは、ずっとその猫に発情期が訪れるということです。
本能の要求のままに異性を求めつづけるのに、その思いを果たすことはできないわけです。

どうして我慢させられるのか猫には理解できません。
ただただストレスが溜まって苦しむだけです。

これって凄く残酷なことですよね。
手術をしてあげることによって、猫をこの苦しさから解放してあげることができます。

手術によって「男で亡くなった」とか「女でなくなった」とか、そのようなことを猫は思うはずもありません。
発情期が訪れる前の子猫時代の感覚に戻るだけです。

完全室内飼いの猫の寿命が急激に伸びた理由はキャットフードの発達も大きいですが、
去勢・避妊手術が普及したからという理由も見逃せません。

猫が発情期特有のストレスから解放され、おだやかな気持ちで健康に暮らしてくれる・・・
飼い主として、このメリットに目を向けるべきだと僕は思います。

また去勢・避妊手術をしていない猫を外に出したり、野良猫に可哀想だからと餌をあげたりする行為が、
どういう結果につながるのか考えてみてください。

先ほども述べましたが、メス猫の妊娠の確率は人間よりもずっと高く、
さらに1年に3~4回の発情期を迎え、一度に3~5匹の子供を生みます。

生まれた子供たちが同じペースでさらに子供を生んでいく・・・
短期間に何十匹、何百匹の不幸な命がどんどん増えていきます。
行きつく先は交通事故、保健所送り、殺処分。

そんな不幸な命が生まれるのを少しでも防ぐためにも
キチンと去勢・避妊手術をしたうえで完全室内飼いに徹することは、
もはや飼い主としての義務ではないでしょうか?

最後に

私の家にもこれまで縁があってたくさんの猫達がやってきました。
すべての猫達に去勢・避妊手術を受けさせてきましたが、それが原因でで不幸な結果になった猫は1匹もいませんでした。
術後はみんなおだやかに元気に暮らしています。

もしあなたが手術をためらわれているのなら、是非、手術のメリットに目を向けて頂ければと思います。

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猫を飼うためには「モノの準備」と「心の準備」の両方が必要です。

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